令和3年4月になり、新型コロナウイルスのワクチン接種に係る業務に看護師の派遣ができるようにな
りました。当初は医師・看護師不足の地方に限定されていましたが、同年4月23日には都市部でも看
護師の派遣が可能となり、ワクチン接種を推進する取り組みが進められています。
そこで今回は、新型コロナウイルスワクチン接種を目的とした看護師派遣の概要や、仕事内容などを
ご紹介します。また、派遣看護師として働くメリット・デメリットについても知っておきましょう。
新型コロナワクチン接種で看護師派遣が可能に! その仕事内容とは
もともと看護師派遣においては、医療機関(病院やクリニック、介護老人施設など)への派遣に対し
一定の条件が設けられていました。具体的には「産休の代替要員」、または「紹介予定派遣(正職員
採用を前提とした短期間の派遣)」でないと、派遣として働くことができなかったのです。
しかし令和3年4月から、新型コロナウイルスのワクチン接種業務で看護師の派遣(日雇い派遣)が認
められるようになりました。
従事者、主な仕事内容
新型コロナウイルスワクチンの接種業務には、正看護師または准看護師の派遣が認められています。
ワクチン接種に係る業務(予防接種法附則第7条、第1項の規定による予防接種)には、予診票の確認
や注射、薬液充填、接種後の健康観察のほか、接種会場の準備・片付け等が含まれます。
ワクチン接種に限り条件なしで看護師派遣ができるようになった背景には、ワクチンの接種を迅速に
進める目的があります。また厚生労働省では、所属している看護職員を休日や時間外でワクチン接種
に派遣した医療機関に対し、財政支援もおこなっています。
就業場所や派遣期間について
新型コロナワクチン接種業務では、病院や診療所などの医療機関に派遣されます。この医療機関に
は、市町村が設ける接種会場や、集団接種を実施する医療施設(健診センターなど)、個別接種が可
能な医療機関も含まれます。
また、看護師の派遣ができる期間は、令和4年2月28日までと限定されているのも特徴です。これは、
看護師の労働者派遣がなし崩しで広まらないようにするための対策です。
勤務時間、時給など
新型コロナワクチン接種の勤務時間は医療機関によっても異なりますが、朝からお昼までの場合と、
朝から夕方までのパターンが多く見られます。勤務先によっては時間・曜日の融通が利く場合もある
ため、比較的働きやすいといえるでしょう。また、ワクチン接種では特定の日だけ単発(日雇い派
遣)で働くことも認められています。
時給はこれまでの経験やスキルにより変化します。派遣元によって交通費が時給に含まれる場合と、
別途支給される場合があるため確認しておきましょう。
派遣看護師のメリット・デメリットは?
新型コロナウイルスワクチンの接種業務で注目が集まっている看護師派遣ですが、これまでにもとも
と派遣として働いていらっしゃった看護師さんも数多く存在します。
例えば有料老人ホームやデイサービス、特別養護老人ホームなどの介護施設や、保育所、障がい者施
設などでは、条件なく看護師派遣が可能です。こうした施設では、看護師の資格を活かして活躍して
いる方も多いです。
病院・クリニック・介護老人保健施設などの医療機関では、産休代替や紹介予定派遣として働いてい
る方もいます。
もし派遣看護師として働くと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット
派遣看護師として働くメリットは、希望条件に合う仕事を見つけやすいことです。勤務時間が選べて
残業も少なく、プライベートの用事やライフスタイルに合わせて働けるのは派遣の大きな利点でしょ
う。有期雇用のため、職場が合わなければ次の仕事を探せるフットワークの軽さも派遣のメリットで
す。また、パートに比べて時給が高めであることもメリットの1つです。同じ非正規でもより多くの
収入が得られるため、プライベートと収入を両立させたい人に向いています。
派遣を利用することで、普段は常勤として働きながら、休日に日雇い派遣(※)で収入アップを目指
す……といったダブルワークも可能です。
(※日雇い派遣で働くには「生業収入または世帯収入500万円以上」「雇用保険適用を受けない学
生」「60歳以上」のどれかの条件を満たす必要があります)
デメリット
派遣看護師はあくまでも「非正規雇用」ですので、安定性に欠けるのがデメリットです。もし契約を
打ち切られた場合、次の職場を探さねばならず、仕事が見つからなければ生活が不安定になることも
あります。
また、正社員に比べると給与や福利厚生などの待遇面が劣っているのもデメリットです。「同一労働
同一賃金(正社員と非正規社員の待遇格差を埋める制度)」が広まりつつあるとはいえ、退職金やボ
ーナス、毎月の給与ではどうしても差が出てしまいます。
派遣で働く場合、正社員のように管理職を目指すなどのキャリアアップも難しいのが現状です。
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派遣看護師は自分の希望条件に沿う職場を探しやすいメリットがあります。しかし、収入の安定性や
待遇面、有期雇用契約である点を考えると安定性に欠ける部分も多いです。近年は「同一労働同一賃
金」の制度によって正社員と非正規社員の待遇差が埋まりつつありますが、それでも正社員に比べれ
ば雇用の不安定さが気になります。
より安定した働き方を望む方は、正社員として働くことをおすすめします。正社員は月給制で収入が
安定しやすく、福利厚生が充実していてボーナスや退職金などの制度もあるためです。
また、管理職などのキャリアアップを目指す場合は、正社員として同じ職場で勤続する必要がありま
す。1つの職場に腰を据えてさまざまな経験を積んだり、よりレベルの高い仕事にチャレンジできた
りするのは、正社員だからこそです。
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